まず最初に断っておくが、競馬ではない。
アフリカンパドック(木材)である。パドゥークとも。
ヤフオクで購入したパドックを短冊切りして丸棒まで下ごしらえしたのだが、今日は家具工房にお邪魔する用事があったので工作機械とスペースをお借りしてきた。
短冊切りも包丁でさくさく切れればいいのだが、そうはいかないのでテーブルソー、ではなく、プロ用の昇降盤を使用させて貰った。
キックバック対策の割刃は無いがプッシュバーで安全に作業は完了した。怖かったけども。
700x400x46と比較的大きな材だったので切粉の量も半端ではないのだが、それ以上に切粉の色が尋常ではない。辺り一面真っ赤である。
家具工房故に床に木屑はそれなりにあるが、パドックの切粉はその全てを赤く染める。非常に言い回しが中二病っぽいが他の表現が思い浮かばない。
パドックはそもそも赤褐色なので、まあ赤いなとは思っていたが切ってみると想像以上の赤だった。
油分は少なくエアブローで飛ばせるので家具や材料に影響は無かったが、床の光景とは裏腹に私の顔からは血の気が引いて青ざめた。
無事ブランクとして21角くらいx700の棒材になったが、こちらの工房にはもちろん旋盤もあるので、丸棒まで荒削りさせて貰う。
今まではペンの長さに合わせ110mmにカットしてから丸棒にしていたが、旋盤にセットする手間を1度で済ませ、一気に削った方がかなり効率的である。
これまではあまり大きな材を使ってこなかった故に気付かなかった。効率を求める前に精度と品質を求めていたのでそれはそれで間違ってはいないと思うが効率も売る以上はやはり避けては通れない。
そして、工房でわざわざ持ち込んで加工した理由は精度が良く、パワーのある大型機械である事ともうひとつある。こちらの木工旋盤には送り機構付きの刃物台が付いているのだ。これは物凄いアドバンテージである。
鉄工旋盤には当然付いているのだが、木工では大型機でも少ないと思われる。
送り機構がある利点は刃物が固定されていること、それにより手で支えていた場合の刃物の前後の誤差が無くなり棒の太さがほぼ一定となる。左右の移動はハンドルを回せば送り速度に自由が変えられるので荒削りから仕上げまでハンドルの回転だけで行える。
はっきり言ってチートアイテムである。
さて、いざ700mmを削るとさすがに20角くらいの小径では材の中央辺りでたわみが発生していわゆるキャッチが発生してしまう。
芯押しの強さを調整すれば回避できるかも知れないが、今回は欲張らず350に切って再加工。
結果、何の問題も無く丸棒が仕上がった。
切り込み量は手作業と同じ感覚で進めたが恐らく倍以上切り込んでも問題無いだろう。そして送りはハンドルを回すだけ。特別な技術など何も要らない。ああ、チートここに極まれり。
結局20本は加工するのに墨付け合わせて2時間程で完了した。なんなら墨付けと移動時間の方が加工時間より長かったのでは無いだろうか。道具を少し持ち込めば更に時間短縮は容易だろう。
木屑は60サイズの段ボール一杯分ほど。手作業だったら丸一日かかるかもしれない。
ほぼテーパーも無い丸棒なのでチャックで芯を出すことも容易だろう、ドリルの精度向上も期待できる。
とりあえずペンにして50本は作れる分のパドックのブランクができたので、主力商品になるようにいいペンを作りたいと思う。
ブランク自体も太いので万年筆にしても見劣りしないだろう。
ところで、パドックの木屑が有害である、なんなら発ガン性はあるとも書かれていることがあるが、マスクをしていたとは言え大量に吸い込んでいるし、服も真っ赤になる程には浴びている。
さすがに気になって調べてみたが、発ガン性までは無いんじゃないかという記事が多い。とは言え木屑を吸っても無害って事はもちろん無い。パドックはアレルギー反応が出る事もあるらしいので話に尾ひれがついた感じだろうか。
あれだけ赤ければ何らかの有害性はあってもおかしくないなとは個人的に思うけどとりあえず咳やくしゃみが止まらないって事は今のところ無い。
黒い木や紫の木や色々な色の木を扱うことが今後増えるだろうが、色に関わらず保護具の重要性はどんな木であっても変わらない。長く続けるつもりなので一層気を付けねばならない。