無色の日記

無職開始の記録。

無色の日記47 ペンマンドレル

最近サボっていたから腕が鈍ったと思っていたが実はそうではなかったという話。いや、腕は鈍っているのだが。

 

ペンターニングの難しいところは金具の径と木地を揃える事である。

揃えないと当然段差になる。書き心地にはそこまで影響しないが素人感が出て非常に安っぽくなってしまう。クレームになりかねない。

なので段差を少なくする為、ブッシュを0.01mm単位で製作したり、マンドレル自体も歪んでいたので作り直した。調子が良いと段差なく納得のいくペンが完成する。

ここ数日小皿を挽いたりしているが、ペンも作って欲しいと言われている分があるので作ってみるとあら不思議、段差のあるペンしかできない。しかも芯がズレた段差である。これは問題である。

マンドレルを通しブッシュで挟むことで木地に回転を伝えて削っていく。マンドレルはヘッドとテールの両方で保持されているので旋盤の芯を通っている。ブッシュも精度よく作った。それで芯がズレると言うことはマンドレルが歪んだか。

しかしマンドレルが大きく振れてる様には感じない。では、旋盤本体か。

実際最初から旋盤の芯はズレている。それでも旋盤の癖を調整すればほぼ一直線の芯が出るので目視で確認できるほどの芯ズレは珍しい。

 

このまま不良品を作り続ける事はアウトレット品を作り続けることになる、ジリ貧どころの騒ぎではない。

色々測定して分からん、新しい旋盤買うか?と頭を抱えていたが、金具の真鍮パイプをマンドレルに通して気付く。パイプとマンドレルに遊びがある。カタカタと揺れる程に。片方に寄せると目視でもう片方に隙間が確認できるほどである。唖然とした。

メインで使用しているのは作り直したマンドレル、中華製とは言え製品の精度より劣っていたかとショックを受けつつ、測定すると6.15mm。確かその辺を狙って旋削したはずである。マンドレルの径が間違っていたり使用で削れた訳ではない。

練習用のパイプ無し木地のドリルは6.3mm。真鍮パイプの内径に合わせたはずなので、真鍮パイプの内径も6.3mmである。この0.15mmの差ってどこから出てきた数字だ?測定してすぐに判明する。

この0.15mmは計算で出したものではない。元のマンドレルを測定した結果と真鍮パイプの内径の差である。元のマンドレルの径を参考にマンドレルを作ったから同じ差が出ている。つまり元から遊びが多すぎる設計だったのである。いや、気付きなさいよ自分。

 

つまり片側に寄った状態でブッシュで押さえられると必然的に芯がズレた状態で固定される。偶然芯付近で固定される事もたまにはあったのかもしれない。もしくは接着剤がパイプ内部に入り込んだか。

 

真鍮パイプにドリルを通してみると6.3mmでは通らない。6.25のドリルだとほぼ遊び無くパイプが通る。つまり適正値はこの辺りとなる。マンドレルが0.1mm細かったことになる。この0.1mmが傾きを起こし芯をズラす原因となっていたのである。

 

と言うわけで6.25mmのペンマンドレル芯を作る事にする。ブッシュや回転センターも再調整が必要だろう。

 

結構なダメージを負ったが、今のタイミングで原因が判明して良かったと思う他ない。

精度が0.1mm上がればほぼ不良品は出ないはず。技術的なミスを除けば。たまに0.1mmくらいズレてるんだよな…と思っていた値は正解だったらしい。

 

日本で購入できるマンドレルは殆どがこの径だと思うがペン作家はどのように対応しているのだろう…。気付かず段差は仕方ないと思っているなら一度見直してみるのも良いかと。

検索用に「ペンターニング、段差、ペンマンドレル」辺りを書いておけば困って必死に解決策を探している誰かがこの記事を見つけるかも知れない。困っていてもここまで辿り着けるかはその人の必死さ次第である。