何らかの理由で地中や水中に埋もれた木が長い年月を経て掘り起こされる事があるらしい。
それは石化して珪化木という宝石になったりもするが、それはちょっと削れそうにない気がする。
成分なのか圧力なのか詳しくは分からないが、成分が変性しているが、木の状態を留めている物は埋もれ木として銘木として扱われる。神代○○と呼ばれることもありロマンの塊である。
通常の状態と異なり色が元の木とは違うことが多い。灰色がかったようなものをよく見る。木目が黒く見えて独特な風合いである。
海に流された流木は白っぽくなることが多いがどういった変化なのだろう。
さて、そんな埋もれ木だが、以前から目にしており試しに買ってもいる。そこまで高くないし。
前回の投稿の戻るが、工房見学の際にお土産に頂いた中に埋もれ木があったのだ。
それを早速バンドソーでペンブランクに切ってみた。
この時に切った方向は木目に直角と平行。
まず直角。これはスピンドルワークとしては正しくない方向である。ただ木目がダイレクトに表面に出る。埋もれ木特有のハッキリとした木目を出してみたかった。
ここで満を持して新旋盤jetの1221vsの出番である。試運転や試し挽きはしていたもののペンは初めてである。
穴を開けて芯を通し、いざガウジを当てるとうーん、固い。
ガウジの研ぎ治具を使うようになって形状が変わったのもあるだろうし、スピンドルワークの桂剥き出来る繊維方向ではないのでスムーズでは無い。仕方なく超硬チップに持ち変えて削っていく。おおよそ角が落ちたところでガウジに持ち変える。そこで少し力が入ったのだろう。もしかしたら軽いキャッチだったかも知れない。
端が欠けた。
何度経験しても結構ショックな瞬間である。今までの作業+材料が無駄になる瞬間である。
ただ、無駄にしてはいけない。何故なのかを追求してみる。
材料なのか、バイトなのか、回転速度なのか、技術なのか。ぱっと思い浮かぶのはその辺りか。
欠けたまま更に削っていくとどんどん欠ける。木目の関係で割れやすいのは承知の上だがそれでも簡単に割れる。
ではバイトを再度超硬に持ち変えるが結果は変わらず。
径が細くなるにつれて割れているので、回転速度を上げて周速度を上げて見るがやっぱり割れる。
と、削っていくうちに遂には真鍮の芯から全ての材料が剥がれ落ちる。
結局原因は分からなかったものの芯は再利用できそうなので、サンディングして次は木目に平行な材を通す。
正直平行の木目ならば楽に削れると舐めてかかっていた。同じような径の段階で、真っ二つに割れた(笑)
笑うしかない初めての経験だった。
ここで、破片に接着剤があまりついていないように感じた。そもそも木材がきれいに全部剥がれるなんて普通ではないのでは?
真鍮側は削らないと取れない。ゼリー状を使って接着していたがそれが良くなかったか?古いのもあるが少なくとも固まってはいる。
サラサラな方が接着強度は高いかもしれないと学びを得た。埋もれ木の成分の関係で接着がしずらい可能性もある。エポキシの使用も視野に入れよう。
という訳で埋もれ木ペンは完成に至らなかったものの新たな改善点が見つかったかもという話。
そして埋もれ木そのものの割れやすさはやはりあるのかも知れない。しかし木目は素晴らしい。
幸いなことに、この問題の解決法を私は知っている。
たくさんのハードルはあるが素晴らしいペンが完成した、もしくは目論見が失敗した時にはまた記事にしようと思う。
成功した暁には、可能性は大きく広がっていることは明白なので、多少の出費は投資は思って耐えねばなるまい。